プレスリリース
平成20年3月期決算
第08015号
JALグループは、本日、平成20年3月期の連結決算並びに平成21年3月期の連結業績目標を取り纏めました。今期の当社の業績は、国内線旅客需要が供給の削減もあり伸び悩みましたが、国際線旅客の旺盛なビジネス需要やプレミアム戦略の展開等を背景に堅調に推移しました。また、期中に鋭意取り組んだ各種コスト削減施策の効果顕在化により営業費用が大幅に減少した結果、2002年のJAL・JAS統合以降最高となる営業利益900億円、経常利益698億円となりました。概要は以下のとおりです。
1.JALグループ連結決算
(単位:億円)
|
平成20年3月期 決算 |
平成20年3月期 業績見通し* |
平成19年3月期 決算 |
前期比増減額 |
営業収益 |
22,304 |
22,380 |
23,019 |
▲714 |
(国際旅客) |
(7,543) |
(7,485) |
(7,248) |
(294) |
(国内旅客) |
(6,774) |
(6,850) |
(6,756) |
(17) |
(国際貨物) |
(1,882) |
(1,885) |
(1,905) |
(▲22) |
(その他) |
(6,104) |
(6,160) |
(7,108) |
(▲1,004) |
営業費用 |
21,404 |
21,900 |
22,789 |
▲1,385 |
営業損益 |
900 |
480 |
229 |
670 |
経常損益 |
698 |
440 |
205 |
492 |
当期純損益 |
169 |
70 |
▲162 |
331 |
億円未満は切り捨て
*平成20年2月8日に公表した「平成20年3月期第3四半期財務・業績の概況」の中での業績見通し
・航空運送事業が好調であったものの、連結子会社であった会社が一部株式売却により連結範囲から外れたことを背景に、営業収益は前期比714億円減の2兆2,304億円となりました。
・営業費用は、燃油価格の高騰があったものの、上述のとおり一部連結子会社が連結範囲から外れたことに加え費用削減に継続的に取り組んだ効果も現れ、前期比1,385億円減の2兆1,404億円となりました。また、営業利益は前期比670億円増、経常利益は前期比492億円増と大幅な増加となりました。
・特別損失として、特別早期退職に係る特別退職金、米国及び欧州連合当局に係る独禁法関連引当金、減損損失等を計上した結果、当期純利益は169億円となりました。
2.航空運送事業セグメントの概要
【営業収益】
国際旅客事業
・路線運営面では、高収益、高成長路線への経営資源の集中を目指し、ビジネス需要の旺盛なニューヨーク線やパリ線(夏期)での増便、成長著しい成田-デリー線の増便、羽田-上海(虹橋)線の開設、その他中国線、ベトナム線、ロシア線(夏期)での増便等、積極的に路線便数の見直しを行いました。
・プレミアム戦略としては、くつろぎのエコノミークラス「JALプレミアムエコノミー」サービスを2007年12月の成田=ロンドン線を皮切りに開始し、2月には成田=フランクフルト線に拡大しました。
・路線のリストラや機材のダウンサイジングにより供給(座席キロ)は前期比4.4%減少しました。一方、ユーロ高から観光需要が伸び悩んだ欧州線や供給を減少した米大陸線、ハワイ線、オセアニア線が前年を下回りましたが、東南アジア線、韓国線、中国線等が前年を上回ったことから、旅客需要(有償旅客キロ)は同3.5%の減少にとどまり、利用率(有償座席利用率)は71.8%へ上昇しました。
・国際旅客収入は、ビジネス需要の順調な拡大や高収益路線へのシフトに加え、運賃や燃油サーチャージの改定等を主因に単価が前期比7.8%上昇したこともあり、同4.1%増の7,543億円となりました。
国内旅客事業
・路線運営面では、路線便数の見直しにより9路線を運休したほか、グループ航空会社のJALエクスプレスによる低コスト運航体制を拡大しました。機材面では燃費効率の良い中小型機への更新を進め、お客さまの快適性向上や燃油費の高騰下における収支改善を図りました。
・プレミアム戦略としては2007年12月に国内線史上初となる「JALファーストクラス」を羽田-伊丹線に導入し「お客さまのプライベートな空間・時間を尊重する最上級のおもてなし」を提供しています。
・路線の見直しや機材のダウンサイジングを通じ、供給(座席キロ)は前期比3.4%減となりました。一方、供給削減の影響もあり、旅客需要(有償旅客キロ)は4.3%減となり、利用率(有償座席利用率)は、前年をわずかに下回る63.4%となりました。
・国内旅客収入は単価が前期比約4.8%上昇したこともあり、前期比0.3%増の6,774億円となりました。
国際貨物事業
・輸出については貨物便供給を削減した北米向けが前期を下回ったものの、中国・欧州・東欧向けが通年で好調な実績をあげました。輸入については日本向けの需要が減速する中、早朝到着貨物便の導入、アジア発着需要の積極的な取り込みにより、従来の日本発着中心から一歩踏み出した販売施策を通じて、収益性の向上を図りました。
・機材および路線運営面では、燃油価格が記録的に高騰する中、ボーイング747在来型貨物専用機を5機退役させ、新たにボーイング767型貨物専用機を導入し、7月から天津、青島へ就航、下期以降はジャカルタやホーチミンシティといった、今後さらに成長が期待される市場へ先行して就航しています。
・その結果、総輸送量(有償貨物トン・キロ)は前期比3.1%の減少となりました。また、燃油サーチャージの段階的改訂等はあったものの、競争の激化や年末以降の急速な円高傾向により、単価が同1.9%の上昇にとどまったことから、収入は同1.2%減の1,882億円となりました。
【営業費用及び為替による影響】
燃油費
・燃油単価は、前年度の平均79.7米ドル/バレル(シンガポールケロシン)に対し、平均93.2米ドル/バレルと更に高値で推移いたしましたが、燃油使用量の削減(前期比94%)や機動的ヘッジ等に取り組んだ結果、燃油費は前期比 81億円減(2%減)の4,127億円となりました。
人件費
・人件費は500億円の連結人件費削減施策の達成により、厚生年金基金の代行返上効果で大幅に削減された前年度とほぼ同額に抑えることができました。また、人的生産性向上による連結従業員数の削減は計画を上回って達成しました。(FY07計画前期比▲697人⇒FY07実績同▲2,297人)
為替
・期中平均の米ドル円為替レートは前期の117円に対して115円でした。また、ユーロ円為替レートは前期の149円に対し161円でした。この結果、為替による営業利益への影響は96億円の改善となりました(内訳は70億円の収入増、26億円の費用減)が、一方、為替予約効果の減少と売掛金等の外貨建て資産の評価換え等により、営業外収益である為替差益は前期比139億円減となりました。
3.連結財政状態
|
平成20年3月期 決算 |
平成19年3月期 決算 |
増減額 (比率はポイント差) |
総資産(億円) |
21,227 |
20,912 |
315 |
自己資本(億円) |
4,539 |
3,110 |
1,428 |
自己資本比率(%) |
21.4 |
14.9 |
6.5 |
有利子負債残高*(億円) |
9,196 |
10,261 |
▲1,065 |
D/Eレシオ(倍)* |
2.0 |
3.3 |
▲1.3 |
*オンバランス分を対象 億円未満は切り捨て
・優先株の第三者割当増資等により現預金が増加したこと等により、総資産は315億円の増となりました。自己資本比率は大幅に改善し21.4%に上昇したほか、D/Eレシオは2.0まで低下いたしました。
・有利子負債は、営業キャッシュフローの改善やノンコアアセットの売却等により、その圧縮に努めた結果、前期比1,065億円の大幅減となりました。
4.JALグループ連結業績目標
(単位:億円)
|
平成21年3月期 (見通し) |
平成20年3月期対比 |
営業収益 |
21,840 |
▲464 |
(国際旅客) |
(8,070) |
(527) |
(国内旅客) |
(7,040) |
(266) |
(国際貨物) |
(1,930) |
(48) |
(その他) |
(4,800) |
(▲1,305) |
営業利益 |
500 |
▲400 |
経常利益 |
300 |
▲398 |
当期純利益 |
130 |
▲39 |
億円未満は切り捨て
・上記目標の前提は米ドル円為替レート110円、シンガポール・ケロシン市場価格110米ドル/バレルを想定しております。
・営業収益はPACIFIC FUEL TRADING CORPORATIONが連結子会社から外れたことを主因に減少する見通しです。
・米州路線の機材のダウンサイジング等を背景に引き続き供給が減少するなか、ビジネス需要の旺盛なニューヨーク線、パリ線、モスクワ線等の増便やプレミアム戦略の全面的な顕在化で国際旅客は単価も順調に上昇すると想定しています。また、国内旅客についても総需要の伸び悩みに加え、新興航空会社や新幹線との競合も厳しさを増しているなか、国際線同様、機材のダウンサイジング推進から供給は減少するものの、法人センターの効果顕在化やプレミアム商品の拡充等により、需要、単価ともに堅調に推移すると想定しています。
・「再生中期プラン」の初年度にあたる当期は、順調なスタートを切ることができました。しかしながら、当社は、安定的に利益を生み出す企業体質への改革の第一歩を踏み出したところであり、また、足元の燃油価格は過去最高を更新しつづける等、対応すべき外的要因も多く予見されているため、2008年2月に「2008-2010年度JALグループ再生中期プラン」をあらたに策定し、厳しさを増す経営環境の変化に立ち向かう所存です。
・以上により平成21年3月期の営業利益は平成20年3月期対比400億円減少し、500億円となる見通しです。
・上記に鑑み誠に遺憾ながら普通株式の平成20年3月期、平成21年3月期の配当につきまして無配当とさせていただく見込みです。
・当社は、できるだけ早期に復配できるよう、より一層の収益性の向上に努め、あらゆる環境においても継続的に配当ができる強固な企業体質を構築してまいります。
以 上
添付資料:平成20年3月期 決算短信
JGN08015.pdf
*印刷をされる方はこちらをご利用下さい。
JGN08015A.pdf