プレスリリース
JALグループ2009年度の経営計画について
第09019号
JALグループは2009年度の経営計画を策定しました。米国発の金融危機を発端とする世界景気の低迷により厳しい外部環境が継続するとの認識のもと、引き続き「安全運航の堅持」を大前提としながら収入の極大化とあらゆる費用の削減に取り組みます。
特に費用については530億円の効果を見込むコスト構造改革を含め計1950億円を削減いたします。さらに企業年金制度の大幅改定を行い、特別損益で880億円の計上を見込みます。そして2009年度に全面展開するコスト構造改革を更に深化させることで2010年度には黒字化を図り、2010年度以降の首都圏空港の拡大というビジネスチャンスに確実につなげてまいります。
1. 2009年度経営計画のポイント |
【安全、お客さま、企業風土改革】
厳しい経営環境の時こそ、事業運営にあたっての基盤である「安全」「お客さま視点」「企業風土改革」を、徹底して推進いたします。
【収入確保施策】
プレミアム戦略は継続します。加えて2009年度は特に観光需要を喚起するさまざまな施策を実行するとともに、営業・空港・客室部門が連携して観光需要にも支持される商品・サービスを提供していきます。
【事業規模の適正化】
国際旅客・国内旅客・貨物の3事業全てにおいて、路線の抜本的な見直しと機材のダウンサイジングにより事業規模の適正化を進め、これに伴う固定費削減を確実に実施し、収益性を改善します。なお、需要動向を見つつ、期中における事業規模の更なる見直しを検討します。
【コスト構造改革】
従来から進めてきた運営体制・業務プロセスの見直しを更に推進し、品質および競争力の向上と、イベントリスクにも耐え得るコスト構造を実現して首都圏枠拡大後の競争に打ち勝つ、筋肉質な体制を構築します。「運営体制の見直し」では営業部門における販売体制・予約発券体制の見直し、整備部門におけるグループ整備会社4社の統合、成田・羽田の両空港における旅客・航務業務関連グループ会社の統合、間接部門の効率化を実行します。また「業務プロセスの見直し」ではITシステム、不動産、燃油、調達・物流、顧客サービスの分野で構造改革を実行します。
【人財戦略】
現在のような厳しい環境下においてこそ「人財」を事業運営の根幹と認識します。JALグループ人財の育成と登用を積極的に実行し、グループ社員一人ひとりの人財力を強化していきます。
2. 2009年度(平成22年3月期)業績見通しについて |
上記の施策に全社一丸となって取り組む所存ですが外部環境は極めて厳しく、誠に遺憾ながら2009年度(平成22年3月期)の業績見通しを以下のとおりとなる予定です。
* 収入 世界景気の低迷により厳しい需要環境が続くと想定し、収入は前年度対比で2,031億円の収入減を想定します。
* 費用 供給量の削減、設備投資額の削減、コスト構造改革など費用削減のための自助努力に全力で取り組み、前年度対比で1,950億円の費用削減を実行します。
* その他 景気低迷による収入大幅減に対応すべく、新たな人件費施策として企業年金制度の大幅改定を行い、特別損益で880億円の計上を見込みます。
|
|
|
(億円) |
|
平成21年3月期(実績) |
平成22年3月期(見通し) |
増減 |
連結営業収益 |
19,511 |
17,480 |
▲2,031 |
(国際旅客) |
7,035 |
5,750 |
▲1,285 |
(国内旅客) |
6,665 |
6,510 |
▲155 |
(国際貨物) |
1,521 |
1,160 |
▲361 |
連結営業費用 |
20,020 |
18,070 |
▲1,950 |
連結営業損益 |
▲508 |
▲590 |
▲82 |
連結経常損益 |
▲821 |
▲1,080 |
▲259 |
連結当期純損益 |
▲631 |
▲630 |
1 |
3. 供給量削減、設備投資削減、コスト構造改革と新たな人件費施策の詳細について |
厳しい環境を乗り越えるためにJALグループが取り組む供給量削減、設備投資額削減、コスト構造改革と新たな人件費施策の詳細は以下のとおりです。
◆供給量の削減
・国際旅客事業の供給量(ASK) 前年比 90.2% (1路線で運休、8路線で減便、7路線のダウンサイジング)
・国内旅客事業の供給量(ASK) 前年比 97.0% (5路線で運休、1路線で減便、E170投入など)
・国際貨物事業の供給量(ATK) 前年比 82.1%(*) (8路線で運休・減便など (*)貨物便+旅客便貨物室)
◆設備投資額の削減
・2009~2010年度の設備投資の合計額を、当初計画から1,000億円程度削減します。
・今後受領する航空機への支払いスケジュールの変更などにより800億円程度、その他に整備部品・改修や一般地上投資で200億円程度の削減を予定しています。
◆コスト構造改革と新たな人件費施策について
2008年度までに実行してきた費用削減施策 |
* JALグループは「2008-2010年度再生中期プラン」で以下の人件費削減施策に取り組み、目標を達成してきました。
人的生産性向上 計▲500億円 |
*08年度は500億円の削減を達成 *09年度も継続、深化 |
-臨時手当水準の抑制継続 ▲150億円 |
|
-代行返上等による費用削減 ▲40億円 |
|
-人的生産性向上等 ▲200億円 |
|
-特別早期退職措置 ▲110億円 |
|
*2008年度末の連結人員数は47,526名へ(計画対比▲1,274名) |
|
JALI 賃金制度の改定(2008年10月1日~) -コスト削減効果 ▲50億円 |
*08年度は50億円の削減を達成(07対比) *09年度には100億円の削減効果(07対比) |
* これらに加え、共通経費(賃借料、維持費、役務費など)の削減、燃油消費量の削減など効率化を推進しました。また緊急収支改善施策による80億円のコスト削減と、2009年度より本格展開するコスト構造改革の一部前倒し実行による90億円のコスト削減を達成しました。
2009年度に全面展開するコスト構造改革 |
* これら従来からのコスト削減施策に加え、9つの分野でコスト構造改革を進め、2009年度は計530億円の費用削減につなげます。施策の概要と2009年度に見込む効果額は以下の通りです
運営体制の見直しに踏み込む分野 計▲530億円 ①営業部門 130億円 -販売体制・予約発券体制の見直し、日本地区国際線販売手数料の廃止など ②整備部門 60億円 -09年10月のグループ整備会社4社統合による重複業務の解消、効率的な整備運営体制の構築など ③間接部門 30億円 -3割の間接機能の効率化など ④空港部門 20億円 -在京空港グループ会社の再構築、グランドハンドリング業務の抜本的な効率化など 業務プロセスを見直す分野 ⑤ITシステム 10億円 -システムに関わる契約の見直しによるIT関連費用の削減 ⑥不動産 40億円 -賃借料単価、面積の適正化などによる不動産利用コストの削減、不動産施設の稼動向上 ⑦燃油 30億円 -運航方式の見直し、機体重量の軽量化などによる消費燃料の削減と燃費の向上 ⑧調達・物流 210億円 -ベンダーコストの可視化、集中購買の徹底などによるグループ調達コストの削減、在庫の適正化 ⑨顧客サービス(効果は①営業、⑦燃油、⑧調達・物流に含まれる) -e化促進による空港業務の簡素化、機内搭載品数量・品目の棚卸しによる適正化など |
|
|
*09年度は530億円の削減を実行 *10年度には1000億円の削減効果を目標 |
さらにこのコスト構造改革の深堀りと通年化効果により2010年度には2008年度対比で1,000億円の費用削減効果を目指します。
JALグループの連結人員数について |
* これまで実行してきた人的生産性向上の施策により2008年度末のJALグループ連結人員数は当初の削減目標を1,274人上回る47,526人となりました。
* 2009年度は全面展開するコスト構造改革により、組織の更なるスリム化を目指します。
*JALグループ連結人員数経緯
*2007-10年度再生中期プランにおいて、「2006年度末の連結ベースの人員数53,100人を2009年度末までに4,300人削減し48,800人にする」計画としていました。 *2008-10年度再生中期プランにおいて、「計画を1年前倒しして、2008年度末までに48,800人にする」ことといたしました。 *JALグループの連結人員数の推移は以下のとおりです。 2006年度末 53,100人 (中期計画発表時の人員数見通し) 2007年度末実績49,200人 2008年度末目標48,800人 (2009年度末の目標人員数を1年前倒しする計画としていた) 2008年度末実績47,526人 (当初の削減目標を1,274人上回って達成した)
⇒全面展開するコスト構造改革により、組織の更なるスリム化を目指します。 |
新たな人件費施策について |
* 2009年度中に企業年金制度の大幅改定を行います。改定により2009年度では特別損益で880億円の計上を見込みます。
* またこの改定により2010年度以降の退職給付費用の減少を想定しています。「未認識債務の一部を一括認識したことに伴う償却費用減」として50億円程度の費用削減を、加えて「退職給付債務が削減されたことによる勤務費用・利息費用などの削減効果」として数十億円規模での費用削減を見込みます。
以 上
*印刷をされる方はこちらをご利用下さい。
JGN09019.pdf