プレスリリース
JALグループ 2023年3月期 第3四半期連結業績
JALグループは、本日、2023年3月期 第3四半期連結業績(2022年4月1日~12月31日)について取りまとめました。
1. JALグループ連結業績
新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた動きが浸透し、国内外における航空旅客需要は着実に回復しております。国際旅客需要については、各国政府による出入国に関する規制緩和により国内外において人々の自由な往来が再開し、日本においても、感染症危険情報のレベル1への引き下げや水際対策の段階的な緩和以降、日本企業のビジネス渡航需要が徐々に復調し、2022年10月の入国規制の大幅緩和により、インバウンド需要が急速に回復に転じました。国内旅客需要については、感染拡大第8波が発生したものの、新しい行動様式が定着し移動の自粛などの行動制限がなかったことや、2022年10月から始まった政府の需要喚起策「全国旅行支援」の追い風もあって着実に回復しました。また、貨物事業については、航空貨物総需要は前年より減少したものの当社便の需要や単価は引き続き好調に推移しました。マイレージ事業につきましても、ほぼ想定通りに安定的に収入、利益を計上しております。
上記の結果、当第3四半期における売上収益は1兆55億円(前年同期比101.7%増加)、営業費用は9,901億円(前年同期比43.9%増加)となり、EBITは347億円(前年同期差+2,180億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は163億円(前年同期差+1,446億円)となりました。当期の燃油費は燃油市況の上昇と急激な円安により2,416億円と前年同期から137.3%増加しましたが、実質固定費を年間目標額の5,000億円を下回る3,671億円に抑制できており、確実なコストコントロールに努めました。なお、第3四半期単独では、EBITは344億円の黒字となり、着実に業績は回復しております。今後は更に利益を伸ばすべく、全社一丸となって努力してまいります。
フルサービスキャリアにおける国際旅客収入は2,871億円(前年同期比509.7%増加)、国内旅客収入は3,355億円(前年同期比92.7%増加)、貨物郵便収入は1,834億円(前年同期比13.9%増加)でした。
2. JALグループ連結財政状況・キャッシュフロー状況
・格付評価上の自己資本比率39.5%、ネットD/Eレシオは0.2倍と、共に健全な水準を維持しております。
・12月末の現金および現金同等物は5,530億円となり、未使用のコミットメントライン2,500億円を含め、十分な手元流動性を確保しています。
・航空旅客需要が回復基調に推移した結果、当第3四半期の営業キャッシュフローは1,914億円のキャッシュインフローとなり、前年同期比で2,781億円の増加と大幅に改善しております。フリーキャッシュフローも1,173億円の黒字を確保しております。
3. 当第3四半期と直近の取り組み
【ESG戦略】
・2022年11月に、本邦初となるCO2排出量実質ゼロの「サステナブルチャーターフライト」を東京(羽田)-沖縄(那覇)線で運航し、SAFの使用やカーボンオフセットなどによるCO2排出量削減、紙製のマドラーや紙 コップ蓋の利用による脱プラスチックをはじめ、フードロス削減、D&I推進、地域活性化に資する取り組みも実施しました。
・2022年12月にはESGに関する情報開示やパフォーマンスが評価され、世界中の投資家から重要な投資判断基準として活用されているESG投資の代表的指数「DJSI Asia Pacific Index」の構成銘柄に初選定され、国際的な環境非営利団体CDPより気候変動「A-」評価を獲得しました。また、サステナ ビリティに関する取り組みやサービス品質等が世界最高水準と評価され、APEX社により「WORLD CLASS」を2年連続で受賞しました。
【フルサービスキャリア事業領域】
・国際線については、日本への入国制限者数の上限が10月中旬から撤廃されたことに加え、観光目的の短期滞在ビザ取得免除といった大幅な規制緩和が進み、日本発着旅客数はインバウンドを中心に徐々に回復してきました。加えて、需要回復スピードの早いアジア=北米間を中心とする通過需要を取り込むべく、成田空港でより乗り継ぎ利便性の高い運航ダイヤを設定するなど、環境の変化に柔軟に対応してまいりました。
・国内線については、コロナ禍での新しい行動様式が定着し、加えて行動制限が行われなかったことや、10月中旬から政府の需要喚起策「全国旅行支援」が開始されたことで、観光を中心に着実に回復しました。また、羽田発着を中心とした臨時便の設定や航空機材の大型化による万全な供給体制を整え、年末年始期間の旅客数は2019年度対比で約9割まで回復するなど、高需要期を中心に多くのお客さまにご搭乗いただきました。
【LCC事業領域】
・ZIPAIRは、国内外でお客さまの認知度が高まり、事業運営は順調に推移しています。12月から就航したサンノゼ線も好調なスタートを切っており、国際旅客需要の回復と歩調を合わせ、着実に実績を積み上げています。スプリング・ジャパンは、中国線の増便が困難である中で国内線にリソースを振り向けております。また、主に国内線を運航するジェットスター・ジャパンと併せ、収益強化に取り組んでまいります。
【非航空事業領域】
・JALマイレージバンク会員専用のネット銀行口座「JAL NEOBANK」において多様な目的で利用できる「JAL目的ローン」の取り扱いを開始、また、昨年度に連結子会社化した株式会社JALUXは、「JAL ふるさと納税」サイトの運営を通じJALグループの就航地を中心に地域の発展とさらなる交流人口・関係人口創出に向けた仕掛けづくりに取り組むなど、航空運送事業以外への事業領域拡大に向け新たな商品・サービスやビジネスの創造に取り組んでおります。
4. 2023年3月期 通期連結業績予想
当期の通期連結業績予想については、2022年11月1日に公表した通期連結業績予想と比較し、最新の国内・国際旅客および貨物需要予測を踏まえ下表のとおり修正します。
新たな今期の業績予想は、売上収益1兆3,580億円、EBIT500億円、純利益250億円となります。売上 収益は460億円、EBITは300億円、純利益は200億円、それぞれ減少を見込んでおります。
国際旅客収入は主に単価上昇により想定を30億円上回る一方、国内旅客収入は需要が伸び悩んでいることから前回想定を260億円下回る見込みです。貨物郵便収入も単価が想定に届かず前回想定を110億円下回る見込みです。営業費用は、160億円の減少を見込んでおります。燃油費はほぼ想定通りに推移する一方、燃油費以外の費用については着実に削減しておりますが、収入減をカバーするまでには至りませんでした。
今年度も残りわずかとなりますが、さらなる収支改善に向けて最大限の努力を継続してまいります。
5. 当期の配当について
当社は新型コロナウイルス感染拡大以降、手元流動性の確保と財務体質の強化を最優先する必要から、2020年度および2021年度の配当を行っておりませんでした。航空需要は未だ回復途上にあり、先行きの不透明感が残るものの、今期の黒字化とこの先の見通しに一程度の目途をつけることができたことから、今期末における1株あたりの配当予想額は20円としております。来期以降は配当の継続性・安定性を重視し、十分な水準の利益を出した上で配当性向35%程度以上を目指していきたいと考えております。
以上