プレスリリース
JALグループ 2023年3月期 連結業績
JALグループは、本日、2023年3月期 連結業績(2022年4月1日~2023年3月31日)について取りまとめました。
1. JALグループ連結業績
新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた動きが浸透し、国内外における航空旅客需要は着実に回復してまいりました。JALグループは、新型コロナウイルスの感染の状況に合わせて日本国内および日本と海外を結ぶ航空輸送ネットワークの確保に柔軟に対応しました。また、旅客需要は回復基調にあるものの想定より時間を要する中、徹底的なコスト削減の取り組みと貨物事業における売上最大化により収益の改善に努め、コロナ禍からの回復に全力を尽くしました。
上記の経営環境において、当連結会計年度における売上収益は1兆3,755億円(前年同期比101.5%増加)、営業費用は1兆3,446億円(前年同期比43.0%増加)となり、EBITは645億円(前年同期差+3,040億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は344億円(前年同期差+2,119億円)となりました。なお、通期では2020年3月期以来の黒字となりました。
また、当会計年度の燃油費は燃油市況の上昇と急激な円安により3,233億円と前会計年度から122.3%増加しましたが、実質固定費を4,925億円に抑制し、当初見通しから75億円削減することができました。今後はアフターコロナの新たな航空需要に対応すべく、JALグループは引き続きこうした努力を継続し、公共交通機関としての社会的使命を果たしてまいります。
2. JALグループ連結財政状況・キャッシュフロー状況
・格付評価上の自己資本比率39.3%、ネットD/Eレシオ0.1倍と、共に健全な水準を維持しております。
・3月末時点での手元現預金は6,392億円で、加えて未使用のコミットメントライン2,500億円も維持しており、十分な手元流動性を確保しております。
・航空旅客需要が回復基調に推移した結果、営業キャッシュフローは2,929億円、フリーキャッシュフローも1,801億円のキャッシュインフローへ大きく改善しております。
3. 各事業領域の取り組み
【ESG戦略】
・CO2削減に関する取り組みの柱の一つであるSAF(Sustainable Aviation Fuel)の活用については、2022年11月に世界最大級の再生可能燃料製造会社であるNeste社と、また2023年1月に都市ごみ等の廃棄物から再生可能燃料の製造を目指すRaven社と新たにSAFの調達を実施することを発表し、海外からの調達先を確実に増やしております。
・現在運航中の小型機の更新機材として、2026年度よりボーイング737-8型機21機を順次導入することを決定しており、省燃費性能の高い最新鋭機材への更新を着実に進めております。
・DEIの観点では、女性・グローバル・シニア人財等、多様な人財の活躍・働き方の整備を推進してまいりました。健康経営にも積極的に取り組んだ結果、当社が「健康経営銘柄2023」に2年連続選定、JALグループ24社が「健康経営優良法人2023」に認定されたほか、若手社員を中心に取り組んだJALグループの統合報告書が日本経済新聞社主催「日経統合報告書アワード2022」において、環境に関する記載がとりわけ優れていた企業に贈られる「グランプリE賞」を受賞しました。
・日本証券アナリスト協会より「ディスクロージャー優良企業」として、運輸部門において2018年以来過去5年間で4回目となる第1位を獲得しました。
【フルサービスキャリア事業領域】
・国際旅客事業では、日本への入国制限者数の上限が撤廃されたことに加え、観光目的の短期滞在ビザ取得免除等の大幅な規制緩和が進み、日本発着旅客数はインバウンドを中心に徐々に回復してきました。加えて、需要回復スピードの早いアジア=北米間を中心とする通過需要を取り込むべく成田空港での乗り継ぎ利便性の高い運航ダイヤを設定するなど、環境の変化に柔軟に対応してまいりました。今後は日本入国時の水際措置の終了等を背景に、力強い需要回復が期待されます。
・国内旅客事業では、政府の需要喚起策「全国旅行支援」が実施されたことなどもあり、旅客需要は観光を中心に着実に回復しました。また、臨時便の設定や航空機材の大型化を行うなど万全な供給体制を整え、その結果、ゴールデンウィークや年末年始、春休みの旅客数は2019年比で約9割まで回復するなど、高需要期を中心に多くのお客さまにご搭乗いただきました。
・貨物事業においては、夏以降、航空貨物総需要が減少に転じる中、当社便の需要はアジア=北米間を中心に好調を持続しておりました。旅客機を利用した貨物便や他社貨物便を積極的に活用し、できる限り需要を取り込みました。単価も下落傾向にはあるものの、依然としてコロナ前に比べ高い水準を維持しております。その結果、コロナ前に比べて大きく収入を伸ばしております。
【LCC事業領域】
・ZIPAIRは、日本だけでなく海外においてもお客さまの認知度が高まり利用率が向上、特に高需要期においては満席便が頻出するなど早期に黒字化を達成し、事業運営は順調に推移しております。また、2022年12月から就航したサンノゼ線も好調なスタートを切っており、2023年6月にサンフランシスコ線、2023年7月にマニラ線の新規就航を目指すなど国際旅客需要の回復と歩調を合わせ着実に成長しております。
・SPRING JAPANは、厳しい入国規制の影響で当面需要回復が見込めなかったことから、生産資源を有効に活用するため一時的に国内線の運航便数を増やすなど収支改善に努めました。今後は中国の水際緩和措置により力強い需要回復が期待されます。
【非航空事業領域】
・国内最大級のポイントサービス「楽天ポイント」とのマイルの相互交換を開始したほか、スマートフォン決済サービス「JAL Pay」を開始し、お近くの対応店舗や機内販売等でご利用いただけるようになりました。航空機搭乗以外のさまざまな日常の生活シーンでもマイル関連サービスの提供を進めております。
・2021年度に連結子会社化したJALUXは、「JALふるさと納税」サイトの運営を通じ地域の発展とさらなる交流人口・関係人口創出に向けた仕掛けづくりに取り組んでおります。また、2022年10月にジャルセールスの当社への吸収合併を決定し、航空券販売に留まらずJALグループ全体のアセットを活用したソリューション営業体制への転換を図ることで、地域や顧客の皆さまの課題解決につながる取り組みを強化してまいります。
・2025年大阪・関西万博における「空飛ぶクルマ」の運航事業者として選定されました。大阪・関西万博において安全・安心に「空飛ぶクルマ」を運航し、実際にお客さまにご搭乗していただきます。
4. 2024年3月期 通期連結業績予想
新型コロナウイルスは、航空を含む多くの業界に甚大な影響を与え、社会・経済の前提を覆す大きな変化をもたらしました。旅客需要は回復傾向にあるものの、ロシア・ウクライナ情勢の影響、世界的な景気減速への懸念、為替の変動や燃油市況の高騰等により、特に日本発の旅客需要の回復スピードは未だ勢いを欠いております。しかしながら、JALグループは急激かつ大幅に需要が減少するという未曽有の事態を乗り越え、中長期的な成長に向けて人財の採用を再開するなど、需要回復に向けた反転攻勢のための体制を確実に整えております。「2021-2025年度JALグループ中期経営計画ローリングプラン2023」に沿って、強固な財務体質の再構築と持続的な成長に向けた取り組みを同時に実現し、「世界で一番お客さまに選ばれ、愛されるエアライングループ」を目指し、すべてのお客さまに快適な空の旅をご提供できるようチャレンジしてまいります。
以上の結果、2024年3月期はアフターコロナにおける安定的な収益構造を確立することで、通期連結業績予想は、連結売上収益1兆6,580億円、EBIT1,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は550億円、とします。
5. 当期・次期の配当について
新型コロナウイルス感染拡大以降、当社は手元流動性の確保と財務体質の強化を最優先し、2021年3月期および2022年3月期の配当を行っておりませんでしたが、2023年3月期については、キャッシュフロー創出力が着実に回復していること、通期での連結黒字化を達成し、かつ、航空需要も更に回復する見通しであることから、期末配当を行う予定としております。配当金額は、2023年3月期の業績が2023年2月2日に公表した業績予想を上回ったことから、1株当たり25円への増配を予定しております。コロナの期間においても変わらずに支えてくださった株主の皆さまにあらためて感謝申し上げます。
2024年3月期も航空需要の回復が継続する見通しであり、キャッシュフロー創出力の着実な回復が見込めることから、2024年3月期の配当金予想は、1株当たり40円、うち中間配当予想は20円とします。業績の回復に沿って従来からの基本方針である継続的かつ安定的な株主還元の実現に努めてまいります。
以上